試合が終わったあと、聖地 後楽園ホールにゴングが鳴り響いた。
ファントム進也、最後のテンカウント・ゴングである。
ファントムは、9月18日のSB日本スーパーバンタム級タイトルマッチを最後に引退することを決意していたのだ。
ホントはこの試合、ドクターストップを宣告されていた。
大袈裟ではなくマサに生死をかけた戦いだった。
”逃げたと言われたくなかった!”チャンピオンとしての意地だけで挑んだ試合だ。
試合前になると毎回身体のメンテナンスに来てくれる進也さん。
今回の事を少しだけ話してくれていた。
その前に施術していると納得した練習が出来てないことが直ぐに分かってしまう。
試合前とゆーのに打撃に必要な筋肉の張りがほとんど付いて無いのだ。
不安な気持ちを持ちながらもDr.りふれも上京。
試合用のスパッツには、リフレ江坂治療院のロゴを入れてくれていた。
チャレンジャーは、K−1甲子園で活躍した日下部竜也。
日下部と言えば若いながらもセンス抜群の打撃で55kgの体にして62kgの相手と対等に戦ってきた。この体重差は打撃系の格闘技で云えばマサに”猫Vs象”だ!
試合は、序盤から日下部の出入りの烈しい攻撃を受ける。試合を焦っているのか、いつになくファントムのパンチが大ぶりになっている。
ついに3R、日下部のバックスピンがボディに刺さってしまった。
それからあとは….
数分間横たわったままのファントムだったが、最後の気力で立ち上がりフラフラになりながら用意されていた引退セレモニーに向かった。
声を詰まらせながら引退を告げるファントム。
会場から暖かい拍手がわき上がった。
例のS水さんの配慮で、通常PASSが無いとNGである選手控室に連れて行ってもらった。
”スンマセン!負けてしまいました”横になりながら謝るファントム。
文字通り命を賭けた試合!!謝る必要など何もない。
ありがとう!そして、ホントお疲れ様でした。
現役チャンピオンと普通に話をしたり飯を食ったり出来るなんて最高でした!
取りあえず、ゆっくりと身体を安めて治療して下さい。
それと近いうちに念願の釣りに行きましょう。
ファントム進也 最後の入場
ファントム進也 最後のコール
引退セレモニー
テン・カウント